結婚を機に仕事を辞めたい、働き方を変えたい【人事によくあるお悩み相談】

こんにちは、なおです。
社会人になって以来、ほぼ人事畑で過ごし、現在はとあるグローバル企業でHRBPをしています。

HRBPという仕事はその名の通りビジネスパートナーとして、ヒトの観点から企業の成長に貢献する仕事だと思っています。なので「採用」や「労務」と言った分かりやすい役割があるわけではなく、事業や組織の成長に必要なことは全て自分の守備範囲、「何でも屋」的な仕事でもあります。時には経営と事業計画をもとに未来のあるべき組織を議論し、時には従業員からの悩みごとを聞いて解決する…といったこともしています。

そんな中で、よくいただくお悩み相談についてシェアしていきます。

今回は「結婚したから退職したい」「結婚を機に働き方を変えたい」というお悩みです。

結婚や出産を機に仕事を辞めてしまう方が、いまだに意外と多くいらっしゃるものなんだなと人事の仕事をしている中で感じます。

出産を機に…であればやはり大きく家族の状態が変わりますし、仕事への価値観が変わりうるタイミングですので理解ができることも多いのですが、「結婚を機に仕事を辞めたい」「仕事の負担を減らしたい」という場合は、しっかりこの先のことまで考えての決断なのかどうか気になるところです。

今回はこのような相談をされた際に考えること、伝えることについて整理してみます。

結婚してすぐは非日常。生活が安定してから考えても遅くない

家族との生活を大切にするために仕事をどうしようか？と考えるのはとても大切なことです。

大切なことだからこそ、落ち着いて考えて、パートナーとも話し合って決めていくことが必要です。そして実体験を踏まえてお伝えすると、結婚前や結婚してすぐに仕事を離れる・変える判断をするのはなかなかリスクが高いです。

というのも、結婚前は結婚後の生活をリアルに想像できていないですし、また結婚直後はとっても幸せな時期で、良くも悪くも浮かれていて、住む場所が変わったり結婚式の準備で忙しくなるなど、結婚前後は非日常の中にいる状態です。

そんな自分を取り巻く環境が変わっている中で重要な判断をしようとしても、その時の状況や心情が大きく影響してしまい、正しい判断ができない可能性があります。

極端な例を挙げると「結婚して一緒に生活してみたら全然価値観が合わなかった」ということもありえます。なのに結婚するからといって仕事を辞めてしまっていたら、その後の自分の人生を変えていくことが困難になるかもしれません。

すぐに決めないといけない話ではないので、諸々のイベントが終わって、結婚生活が普通の生活になってから考えても遅くはないのではないでしょうか？

「自分で稼げる」は、生きる力になる

結婚や出産を機に仕事を辞めたいと話す方に私がいつも伝えていることは「稼げる力を持っていることは自分を支えてくれる」ということです。

長い人生の中で、夫婦関係がどうなるかも分からないですし、パートナーが病気や怪我で働けなくなることや、子供の教育費をもっとかけたいと考え直すことだって考えられます。

そうなった時に、一度、働くことを手放してしまっていたら、なかなか以前の状態に戻すことは難しいと思います。

働き方を変える＝働く時間を減らしたいからパート等になる、というのも同じ理由で個人的には反対です。条件的・心情的に可能なのであれば正社員として働き続けておく、どうしても無理なのであれば次点として雇用形態を変えるという選択肢になると思います。

働けることは家族を支えるための力、自分自身を守るための力になります。その力を絶やさずに持ち続けていってほしいですし、パートナーとも「どういう働き方なら可能なのか？」と働くことを前提に話し合ってみてほしいなと思います。

環境を変えるなら今後のライフステージの変化も考慮して

働き続けたいけど今の職場で続けていくのは難しい、とりあえず環境や働き方は変えたいという場合もあるかもしれません。例えば、残業が少ない会社にしたい、パートナーと休みが合うような仕事に変えたい、在宅で働ける仕事に就きたいといったような場合です。

働き方を変えたい場合、会社としては就業規則の中で働いてもらう必要がありますし、残業等は組織や業務特性上避けられないこともあるので引き止めは難しいなと思うことが多いです。

でも、例えうちの会社の従業員でなくなるとしても、その方のこの先の人生が幸せなものであってほしいと本当に願っています。だからこそ、次の場所を選ぶ時にはぜひ目の前の課題を解決するだけでなく、先のことを見通して働き続けられる環境を選んでくださいとお伝えしています。

結婚したのであれば、出産するときに快くサポートしてもらえる環境かとか、その先子供の成長に合わせた働き方ができるかどうかとか、自身の加齢を考慮しても働き続けられる仕事内容か等々、この先の人生をイメージしたときにフィットできる仕事なのかどうかを検討した上で次のステップに踏み出してほしいと思います。

今回は「結婚したから退職したい」「結婚を機に働き方を変えたい」というお悩みについて考えてみました。

仕事を変える・離れるというのは勇気のいる大きな決断だと思います。簡単に決めずに、ぜひパートナーとも話し合った上で結論を出していってください。