人事の理想と現実【憧れだけで人事になるのは危険⁉︎】

仕事の悩みや転職相談を受ける中で、「人事になりたい!」という話もよく聞くのですが、“人事”ってどんなイメージですか?

私は社会人生活のほとんどを“人事”として過ごしてきています。
学生時代から人事になりたくて、新卒の時は他部署に配属されましたがしばらくして人事部に異動し、そこから転職をしながらも仕事としてはずっと人事をしています。

人事になりたくてなった私ですが、実際に仕事をしてみるとイメージとのギャップが大きい仕事だなと感じます。なので、「人事になりたいんです」という相談を受けた時に、正直オススメするか悩みますし、憧れだけでなると大変だと思います。

今回はそんな人事の仕事の理想と現実、それを踏まえて、どんな人が人事に向いているかについて考えてみます。

人事の仕事は理想と現実のギャップが大きい

理想と現実のギャップと書きましたが、そもそも“理想”=人事のイメージとはどのようなものでしょうか?

個人的な印象ですが、人事のイメージは以下のようにニ極化していると感じます。

  • キラキラしている、楽しそう、花形な仕事
  • 冷たそう、本音が見えなくて怖い

前者はおそらく採用担当からのイメージ、後者は評価や配置などを担当するHRBPや労務担当などからのイメージでしょうか。割合としては7:3で良いイメージを持っている方が多いように思います。

人事に憧れを持っていて、人事に憧れている、人事の仕事にチャレンジしたいと思っている方が、念願叶って人事をやることになったら、高確率で「こんなはずじゃなかった」と思うと思います。
少なくとも「思っていたのとちょっと違ったな」くらいは感じるはずです。

そのギャップを生み出す一番の要因は、人事が人間の良い面も悪い面も見なければならない仕事だからだと思います。

人のネガティブな部分に触れるのも人事の仕事

よく聞く「人の成長に携われる」「人の人生の可能性を拡げられる」ということは人事の仕事の一つの側面です。
例えば、自分が採用した方が入社後に活躍して表彰をされたら誇らしい気持ちになりますし、配置転換などを通して若手や可能性のある人にチャンスを与えられたり、社員の活躍を促すことで会社の成長に貢献できている実感も得られます。

一方で、普段は見ることのない、人のネガティブな部分に触れることも多々あります。やや極端な例ですが、以下のようなことも起こり得ます。

  • この間まで元気そうにしていた身近な人がメンタル不調になり、休職対応や産業医面談等への同席をしなければならない
  • 温厚な人だと思っていたのに問題が起きたら急に態度が豹変。聞き耳を持たない相手と話し合い、事態を丸く収めないといけない
  • 会社の業績が悪くなりリストラ候補の選出と退職勧奨をしなければならない

上記はちょっとイメージしにくいかもしれませんが、例えば採用で「御社が第一志望です!」と言っていて内定を出した方から、内定式直前で内定辞退の連絡があり、その後音信不通になる…みたいなことも考えられますし、なかなか自分のメンタルにくる出来事があったりします。

人のネガティブな部分は、プライベートであれば関わらないことで避けて通れますが、人事という立場上、むしろ会社を代表して積極的に対応していかなければいけません。

人事の仕事にキラキラした印象を抱いているのであれば、こういうマイナスな部分も受け止める必要があります。

ドライとウェットのバランスが取れる人は人事に向いている

人事のリアルな話をすると、「じゃあ、人事の仕事がフィットする人ってどういう人?」と聞かれます。

(人の人生に関わる仕事なので、真っ当で信頼できる人物であることは大前提として)たくさんの人事の方とお会いした中で思うのは、ドライとウェットのバランスが取れる(取れている)人は人事に向いているなと感じます。

「ドライ」とは冷静に物事を把握して判断する力、「ウェット」とは人に共感し寄り添う力というイメージです。

この二つの力はバランスが重要です。
ドライに寄りすぎると冷徹で血も涙もない印象になり社員がついてきませんし、ウェットに寄りすぎると本質的でないところに時間をかけてしまったり自分のメンタルがもたなかったりします。

社員の気持ちを理解して受け止め寄り添いながらも、冷静に事業の状況や社員の能力を把握して適切な判断をし、それを双方が納得できるように伝えていく、というようにドライとウェットを使い分けていくことが必要です。

ドライさとウェットさは経験を積んで身につけていくこともできますが、元がドライめな人の方が向いているのかなと思います。ウェットな人=情に厚い人が多いので、ドライに対応しなければならない場面でストレスを感じやすい傾向があります。

なんだかんだ言っても、人事は挑戦する価値のある仕事!

人事って大変なんだよ、という雰囲気を出してしまいましたが、トータルで考えると人事は挑戦する価値のある仕事だと思います。なんなら社会人なら全員一度は経験してもいいのでは…と思うくらいです。

人事の中でもどのような領域を担当するかにもよって必要な資質も異なるので、例えば採用担当としてパッとしなかったとしても労務周りをやったら強い、ということもあります。また、人事自体が合わなかったとしても人事の経験はどの仕事でも活かすことができるので、そういう意味でチャレンジする価値のある仕事だと思います。
(人事の各領域で必要な資質については別途まとめようかなと思っています)

個人的には人事の仲間が増えていったらとても嬉しいので、ぜひ人事の世界にいらしてくださいね!

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